英語はゲルマン系言語、フランス語はラテン系言語、だのに共通語彙がやたら多いのは何故 驚かないでください。言語学の世界では常識の部類の話です。英語とフランス尾の共通語彙の割合は、 語彙全体の80%に及ぶんですよ。 原因は今ブログで書いたばかりの、イングランドを統一した、「ノルマン征服王朝」にあるんです。 ノルマンのイングランドの統一・支配後、暫くの間イングランドの公用語はフランス語でした。 北部フランスの貴族集団とともに、相当数の人間の移住が行われたようですから、フランス語は、 一般レベルでもイングランドに流入したようです。 どのくらいの程度だったかということを示す、良い例があります。 英語では食用動物名と、食余蘊供する肉を表す言葉とが異なっています。おおよそ以下のようになります。 ■動物名 ・ox,cattle ・pig ・sheep ■食肉名 ・beef ・pork ・mutton これを見るとすぐ分かりますが、動物名と食肉名とは類似語でもなく、語彙としては完全に二重構造になっています。 これは言語学上、認知された考え方ですが食肉の供給者と食する人間の二重構造を写したものといえます。 つまり食肉の供給者はもともと、イングランドに住んでいた人間、食するのはノルマン王朝とともに 北フランスから来た貴族をはじめとする征服者側の人間ということです。 この様に「ノルマン征服王朝」の登場は歴史のみならず英語という言語に大きな影響を与えました。 同様に、発音が異なるので異なる言語に聞こえますが、同一の言語と見做せる語彙が実に多いのです。 Chの発音でチャールズはシャルルになります。トラベルはトラバーユと言った具合に枚挙の暇がありません。 もともと言語学上何の関連性もないはずの英語とフランス語が歴史のひとつの事象・事跡から この様な大きな影響を受けるのです。 イギリス人がフランス語をマスターするのに必要な度合いは日本人のそれと比べおそらく 10分の1程度で済むのでしょう。 歴史の1ページがこの様に大きな影響を言語に与えるのです。 今までお伝えしてきたことをご理解いただけるでしょうか。
by futuregate3
| 2006-10-04 11:21
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